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【2020年版】地方公務員の副業解禁はどこまで進んだ!?

地方公務員副業解禁

働き方改革で、「公務員の副業が解禁」というニュースを目にされたことがある方も多いかと思います。
でも、あなたの周りに堂々と自由に副業をしている公務員はどれくらいいますか?

「公務員の副業が解禁」といっても、下のような疑問や悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。

  • 副業していい範囲はどこまでなんだろう?
  • なにか条件があるのかな?
  • 副業解禁を鵜呑みにして処分されたくないな

この記事では、このような疑問にお答えするべく、「公務員の副業解禁」の2020年最新事情について解説していきます!

「公務員の副業解禁」は収入アップを目的とした副業の全面解禁ではない!

公務員が副業を考える理由は、人それぞれ。

収入アップ、本業以外のスキルや知識の獲得、地域貢献、人脈を広げる、趣味、などなど色々ありますよね。

公務員くん
公務員くん
僕はやっぱり収入アップが目的です!!
ねこ課長
ねこ課長
そこまではっきり言われると、清々しいにゃ

ネットでは、公務員の副業について様々な情報が溢れています。

ともすると、「収入アップを目的とした副業」「社会貢献などを目的とした副業」が同じ文脈で語られることもあります。

しかし、この2つは全く意味合いが違いますので、この記事でしっかりとその違いを認識してもらえればと思います。

実は、近年話題に上ることが増えた「公務員の副業解禁」の動きは、収入アップを目的とした副業を解禁するためのものではなく、公務員による社会貢献活動を後押しすることを目的とした動きです。

では、副業の目的が様々にある中で、なぜ社会貢献活動に限定した副業解禁の議論になっていったのでしょうか。

社会貢献活動に限定した「副業解禁」が議論されてきた経緯

「公務員の副業解禁」が世間の話題に上がり始めたきっかけはいくつかあります。

きっかけの1つは、平成30年6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」において、下のような方針が示されたことです。

国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める。

引用元:未来投資戦略2018

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf

この時点ですでに、「公益的活動等」という、「社会貢献活動」に近い表現が使われていますね。

この方針に基づいて、2018年度に、内閣人事局から国家公務員の兼業について(概要)が出されました。

そして、これに続くようにして、2019年には、地方公務員を対象として、営利企業への従事に関する実態調査が行われました。

その結果も踏まえ、総務省から出されたのが「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」です。

副業による公務員の社会貢献活動(公益的活動等)を後押し

地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」を見ていただくと、副業によって公務員が「社会貢献活動」を行うことを、国が後押ししていることがよく分かります。

人口減少・少子高齢化が進んでいく日本社会において、ますます縮小していく人的資源で経済成長を果たすことや、より成熟した社会を築いていくことは、非常に難しい課題です。

このよう日本社会の現状において、副業・兼業によって、個人のスキルアップや自己実現を図ったり、1つの組織に依存しない収入の確保を目指したりすることは、官民を問わず、推進していかなければテーマなのだと思います。

「社会貢献活動」の定義

では、ここでいう「社会貢献活動」とは一体どんなものを指すのでしょうか。

一口に「社会貢献活動」と言っても、かなり広範囲に渡りますが、「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」では、下のような具体例が示されています。

  • 伝統行事や地域イベントの振興に関する活動
  • 地域ブランドや地場産品のプロモーション活動
  • 地域の防災、防犯に関する活動
  • スポーツや文化芸術活動の指導・支援
  • 教育や若者自立支援に関する活動
  • 住民の生活支援や福祉に関する活動
  • 環境の保全や監視に関する活動
  • 移住者受入れや定住促進に関する活動      など

言葉の詳細な定義は示されていませんが、ここで挙げられているものを分類すると、地方創生系、教育系、福祉系、環境系などに分けることができます。

また、必ずしも上の分類に当てはまらなくても、広く社会課題として認められているものや、その自治体固有の地域課題などに対する活動も、自治体の裁量で副業が認められると考えてよいかと思います。

地方公務員の副業解禁に関する先進事例

実は、国が公務員の副業解禁に関する考え方を示したのには、複数の自治体における副業解禁における動きも少なからず影響しています。

ここで、全国に先駆けて、副業の許可基準を明確にし、職員の副業による社会貢献活動を後押ししている先進事例をご紹介します。

地方公務員の副業解禁 先進事例①:兵庫県神戸市

全国の自治体に先駆けて、いち早く職員の副業を後押しする制度を設けたのが、兵庫県神戸市です。

神戸市では、平成29年4月から、報酬を伴う地域活動を促進する目的で、「地域貢献応援制度」を始めました。

神戸市では、1995年の阪神大震災からの復興を担ってきた市民団体等が、高齢化等によって人材不足となっているそうです。

地域団体の元気がなくなることで、まちの活力も失われると考え、約2万人の市職員を地域活性化の原動力とするため、「地域貢献応援制度」の設置に踏み切ったそうです。

副業を行える条件としては、5年以内に副業先との契約・補助に関する業務に就いていないことなどがあります。

制度を活用してNPO団体での活動を行っている職員からは、「民間で働くことで地域課題の全体像がわかる」といったように、制度を評価する声が上がっているようです。

また、神戸市では、「地域貢献応援制度」以外にも、不動産賃貸や太陽光発電等の副業を行う際の許可基準や申請書様式を公表しており、「公務員の副業解禁」におけるトップランナーと言えます。

地方公務員の副業解禁 先進事例②:奈良県生駒市

奈良県生駒市では、平成29年8月から、公共性のある団体での職員の副業を後押しする内部規定を導入しています。

規定の内容として、在職3年以上であることや、市と利害関係が生まれないことなどが条件になっています。

また、平成30年夏からは、市外での活動も認められるようになりました。

生駒市では、これまで職員が地域活動に参加する場合、無償で参加していたそうです。

しかし、万が一規則に抵触するリスクを恐れて、地域の活動への参加自体をためらってしまうというケースもあり、地域活動への積極的な参加を促すことや、職員の課題解決能力の向上を目的に、副業規定の設置に踏み切りました。

この副業規定の設置により、元々無報酬で「レンコン掘り調査選手権」というユニークな地域活動を行っていた職員が、活動の幅を広げるために新たな法人を設立する動きにつながるなど、地域にとって良い影響が生まれているようです。

地方公務員の副業解禁 先進事例③:宮崎県新富町

神戸市と生駒市に続き、宮崎県新富町でも職員の副業許可基準を明確化した内規の運用を始めています。

職員が勤務時間外に地域貢献活動などに取り組むことを後押しすることを目的として、スポーツ少年団やNPOなどでの報酬が発生する活動を想定しているようです。

収入アップを目的とした副業はできないのか?

ここまでは、近年見られる副業による公務員の社会貢献活動推進の動きについてご紹介しました。

たしかに、公務員が本業以外で、何らかの社会貢献活動を行うことは、非常に素晴らしいことですし、これに異を唱える方は少ないでしょう。

ただ、「社会貢献活動」以外にも、「収入アップ」を目的に副業を行いたいという方もいらっしゃると思います。

では、公務員は収入アップを目的として、副業をすることはできないのでしょうか?

答えは、「ノー」です!!

実は、そもそも公務員の副業は禁止されていないんです。

「禁止」ではなく「制限」

許可さえとれば、公務員でも副業はできます。

「禁止」ではなく「制限」、許可さえとれば副業はできる!

繰り返しになりますが、公務員の副業は、「禁止」されているのではなく、「制限」されているだけなんです。

制限の内容は、次のとおりです。

  1. 営利団体の役員等になること
  2. 営利企業をみずから営むこと=自営
  3. 報酬をもらって行う事業・事務

これを見て分かるとおり、副収入を得るようなことは、基本的に制限されているわけです。

ただ、問答無用で副業してはいけないということではなく、きちんと任命権者の許可さえとれば、以前から副業はできました。

「公務員=副業禁止」と思っている方は、公務員の中にも多くいますが、正確には「禁止」ではなく、「制限」になります。

ではなぜ、国がわざわざ基準を示したかといえば、この任命権者が副業を許可する基準というのが非常にあいまいだったため、本来はできるはずの副業を抑制している可能性があるという議論があったためです。

つまり、神戸市や生駒市においても、当然許可なく副業ができるわけではなく、きちんと申請をした上で内規の基準にそって、許可されているわけなんです。

公務員の副業での処分事例

このように公務員の副業は、きちんと任命権者の許可さえとれば、以前から行うことはできました。

それにも関わらず、「公務員=副業禁止」というイメージが強いのはなぜなのでしょうか。

それは、許可をとらずに副業を行っていることがばれて処分される公務員が毎年一定数おり、それがニュースなどで取り上げられるからです。

副業がバレて懲戒処分された事例について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。

「公務員の副業解禁」今後はどうなっていく?

この記事では、近年ニュースに取り上げられることも増えてきた、「公務員の副業解禁」の動きについて解説しました。

社会貢献活動に限定されてはいますが、公務員にも副業解禁の動きが出てきていること自体は、働き方改革の一つとして、評価されるべきことではないでしょうか。

平成31年度時点の地方公務員数は、約274万人。

この大きな力を地域貢献のため、これまで以上に有効活用しない手はない!というのが現時点でのトレンドです。

国からも、各自治体の副業許可基準を明確化するように求められていることもあり、少しずつでしょうが、副業による社会貢献活動を後押しする自治体も増えてくるでしょう。

公務員にも色々な方がいて、中には生活の安定を求めて公務員になったという方もいます。

ただ、やはり住民の役に立ちたいという思いで、公務員として働いている方も多くいます。

そういった方にとっては、公務員としての仕事以外にも、人々の役に立つような活動をすることで、報酬が得られたり、スキルや人脈を培えたりすることは非常に素晴らしいことだと思います。

一方で、収入アップを目的とした副業の全面解禁がされる可能性は極めて低いでしょう。

収入アップを目的に副業する公務員の方については、これまでと同様に、法律を正しく理解し、合法となる範囲内で副業を行うことが無難です。

そのような方向けに、下の記事では公務員でも安心して収入を増やせる方法についてご紹介していますので、ぜひ読んでみてください。

様々な目的で副業を考える公務員の方にとって、この記事が少しでも役に立てば幸いです。