ねこ課長!副業で処分される公務員がたくさんいるって本当ですか!?
ぼくの副業もばれて処分されたらどうしましょう!
たしかに、毎年一定数の公務員が副業で処分されているニャー。
でもそんなに心配なら、実際に公務員が副業で処分された事例を学んで、対策をとったらいいんじゃないかニャ。
おっしゃるとおりですね!
ねこ課長、勉強させてください!!
副業を理由に処分される公務員は毎年一定数います。
しかし、処分されることなく副業している公務員も実は多くいます。
彼らの違いはなんなのか気になりませんか?
この記事では、実際に公務員が処分された事例から、処分された理由を学び、処分されないための方法を考えていきたいと思います!
この記事で分かること
- 公務員が副業で処分された事例にはどんなものがあるのか
- 処分されないためにはどうすればいいのか
公務員が副業で処分された事例12選
でも、懲戒処分と一言でいっても、実は、処分の度合いによって4つの種類があるんだニャ。
4種類の懲戒処分
- 免職:職員の身分を剥奪し、公務員関係から排除するもの
- 停職:1日以上1年以下の期間、職員としての身分を保有させたまま職務に従事させないもの(その間の給与は不支給)
- 減給:1年以下の期間、基本給の月額の5分の1以下に相当する額を給与から減額するもの
- 戒告:その責任を確認し、及びその将来を戒めるもの
処分の度合いは、①の免職が最も重く、④の戒告が最も軽くなります。
免職になった事例
複数の飲食店でのアルバイトで195万円の収入
2017年に札幌市の職員が、約2年間にわたって、札幌市内の12の飲食店などで深夜にアルバイトをし、195万円の収入を得ていたということで懲戒免職されました。
離婚した家族への養育費の支払いのため、消費者金融に借金があり、その借金返済のためアルバイトを行っていたとのこと。
勤務時間中に居眠り、勝手に席を離れるなどの行為を繰り返したことで怪しまれ、発覚したようです。
ダイヤルQ2事業経営
この事例は、懲戒免職処分の取消を求めて、1999年に裁判でも争われたものです。
大阪府高槻市の消防職員が、実質的にテレフォンクラブと同内容の営業であるダイヤルQ2事業を経営し、懲戒免職とされました。
裁判での取消請求は棄却され、懲戒免職の処分が適用されました。
利用客は主に男性で、女性との性的関係を期待して利用されていたことから、このようなビジネス自体が、犯罪の温床になるということで、条例等で規制している自治体なども多くあたんだニャン。
このようなビジネスを地方公務員である消防職員が行っていたため、地方公務員法38条の「営利企業等への従事制限」に抵触するのは当然として、公務に対する信用を大きく下げ、地方公務員法33条の信用失墜行為にあたるということで、懲戒免職処分とされました。
免職→停職になった事例
農産物販売や水道工事会社経営
兵庫県宝塚市の消防職員が、副業で農産物を販売する団体や水道工事会社を経営したこと、また身分を偽り、既婚であることを隠して女性と交際し、訴訟にまで発展させたことなどを理由に、一度は懲戒免職処分されました。
しかし、この職員が市に免職の処分取消を求めて訴訟を起こし、結果、免職処分の取消が命じられ、停職処分となりました。
この職員は勤務成績は悪くなかったものの、過去にも兼業を疑われることが複数回あり、指導を受けていたそうです。
また、実質的に経営していた営利企業の業務に同僚を手伝わせるなど、悪質とも言える事実がありました。
そのため、市側は営利企業等の従事だけではなく、女性問題なども含めて公務員の信頼を失墜させたとして、懲戒免職処分としました。
しかし、神戸地裁の判決は免職処分の取消でした。
その理由を判決文から要約すると、ポイントは次の2点です。
- 「宝塚市懲戒処分の指針」との関係
- 他の同じような懲戒事案とのバランス
ちなみに、懲戒処分の対象となる内容であるということは前提です。
その上で、宝塚市では、「宝塚市懲戒処分の指針」を設けて、懲戒処分に付すべき代表的な事案を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げています。
こういった独自の指針を設けている自治体は、けっこうあります。
1つ目のポイントとして、判決文の中では、懲戒処分の標準例に当てはまらない行為についても懲戒の対象になることはあるが、あくまで標準例を参考とすべきであり、停職以下の処分で足りない場合に初めて、免職が認められると言っています。
2つ目のポイントは、過去の類似事例とのバランスです。
後にも紹介しますが、宝塚市では副業で7,000万円稼いで停職処分になった事例がありました。
今回の訴訟では、女性トラブルなど兼業以外の問題も争点になっていました。
しかし、女性問題はあくまで民事上のトラブルであることと、すでに当事者間では解決済みでもあったことから、懲戒処分の程度に考慮されるべきものではないという判断でした。
今回の消防職員の場合、営利企業を経営していた事実はあるものの、それによってそこまで多額の利益は上げておらず、過去に7,000万円の副業収入を得ていた職員でも停職であったことから、「免職は重すぎる」との判断で、免職処分は取り消されました。
副業バレ停職→停職期間中の態度不良で免職
岐阜県池田町の職員が接客業のアルバイトで約300万円の収入を得ていたことにより、6か月の停職処分を受けました。
しかし、事件はこれが終わりではなく、始まりでした。
この職員は、停職処分中に、自身のフェイスブック上で、処分前に行った旅行についての記事を投稿しました。
それを見た住民などから不謹慎だとしてクレームが寄せられました。
それに対して町から厳重注意されたにも関わらず、フェイスブックへの投稿は続いたため、町の信頼を失墜させたとして、懲戒免職処分が下されました。
しかし、この免職処分は重すぎるとして、職員が揖斐広域連合公平委員会に訴えました。
公平委員会の審査結果は、免職は重すぎるとして、処分を取り消すものでした。
理由は、フェイスブックでの投稿は職業が分かる内容ではなく、信用失墜行為とは言えないことと、町が弁明の機会を与えておらず手続き上問題があると判断したためです。
停職になった事例
不動産投資で7,000万円の収入
宝塚市の管理職だった者が、不動産投資で7,000万円の収入を得ているのが発覚し、6か月の停職とされました。
この職員は、勤務時間中に公務用のパソコンを使ってメールでの商談なども行っていたため、上司から怪しまれ、発覚したそうです。
病気での休暇中にプールでアルバイト
奈良市の職員が、平成27年に病気を理由に休暇している期間中に、妻が経営するプールで46日間もフルタイムでアルバイトをしていたことが発覚し、6か月の停職処分とされました。
本人の言い分は、「妻も病気だったため、手伝いたかった。」ということのようですが、事実だとしても言い訳としては苦しいですね。
金券ショップビジネスで1,500万円の利益
これは、国家公務員である労働基準監督署職員の処分事例です。
内容は、1999年4月から2011年4月にかけて、週3、4回程度、1日約50万円分の旅行券や商品券を金券ショップで割安に購入。
その券を使って新幹線の切符や航空券を手に入れたあと、払い戻して差額を得ていた。
これによって得た利益は、12年間で約1500万円と言われ、報道された当時は、金券ショップを使った「錬金術」としても注目を集めました。
これが、兼業に当たるとして処分されただけではなく、この職員は得た利益を税務署に申告しておらず、発覚後に対象となる過去5年分の税金を納めたそうです。
この事例では、1か月の停職処分を受けています。
キャバクラ送迎アルバイト
大阪市の職員がキャバクラの送迎アルバイトをしていたとして、6か月の停職処分が下された事例です。
この職員は、2011年2月から2014年5月までの間、月に20日程度、キャバクラのホステスを送り届けるアルバイトをしていたとのこと。
2013年4月に、「夜に副業している」との情報が寄せられ、本人に確認したところ否定されたが、2014年3月に再度、店名などの詳細情報が寄せられた。
そのため、市職員が店の近くで張り込み、アルバイトの現場を確認され発覚。
22年間声優として活動
福岡県で運転手を務める職員が、22年間にわたり、無許可で声優として副収入を得ていた上、収入に伴う納税を怠っていたとして、停職4カ月の懲戒処分を受けた事例です。
この職員は、県に採用される前から、フリーの声優として活動。
県に採用された後も、無許可で声優の副業を続けた。
業界ではそれなりに知られた存在だったらしく、福岡市内のタレント事務所と専属契約を結び、5年間で約1,400万円の収入を得ていたそう。
外部からの指摘で発覚。
懲戒処分に加えて、住民税や所得税の追加課税分として、約147万円を納付したとのこと。
減給になった事例
女性巡査派遣型風俗店でアルバイト
下関警察の女性巡査が、H30年9月から11月までの間、福岡県内の派遣型風俗店でアルバイトをし、約8万円の報酬を得ていた事案で、減給10分の1.1か月の懲戒処分を受けました。
これは県警への情報提供があり、発覚したとのこと。
20年間新聞配達アルバイト
20年間にわたる新聞配達のアルバイトが発覚し、甲府市の管理職の者が、減給10分の1(6か月)の懲戒処分を受けた事例です。
この職員は、1993年9月から新聞配達のアルバイトを始め、ほぼ毎日、午前3~6時まで朝刊の配達を行っていたとのこと。
勤務状況は良かったが、税務署から所得の修正報告を求められ、やむなく職場に報告し発覚。
不動産賃貸で7,000万円の収入
佐賀広域消防局の職員が、職場の許可なく、自分名義の不動産を賃貸し、平成26年の1年間で少なくとも約7千万円の収入を得たとして、減給10分の1(3カ月)の懲戒処分を受けた事例です。
消防局によると、この職員は、佐賀市に所有するマンションなど15物件を貸し出しており、本人の説明によると、「父親が経営する不動産会社を手伝っていた」とのこと。
この職員が、マンションやアパートを購入しているとの情報が寄せられたため、内部調査をし発覚。
戒告になった事例
彼らの副業はなぜバレたのか?
公務員くん、なんだか分かるかい?
- 副業の現場を同僚や住民に見つかる
- 副業していることを第三者に話してしまい情報がもれる
- 税金の問題で経理担当者や税務署に指摘される
今回紹介した12の事例から分かるとおり、接客業などの顔をさらす副業をやっていたことで発覚するというケースが非常に多いです。
公務員は自分で思っている以上に、色々な方に顔を覚えられているもの。
自分は大丈夫だと思っていても、どこで見られているか分からないから気をつけなければいけません。
また、自分自身で副業していることを話してしまったり、それを匂わすような言動で怪しまれるというケースもあります。
また、副業をして収入が増えたことで金遣いが荒くなったり、勤務態度が悪くなったりすることでも怪しまれることがあります。
最後は、税金関係での発覚です。
無許可での副業で収入を得ている場合、所得税や住民税から経理担当者や税務署に発覚することがあります。
20年間の新聞配達アルバイトが発覚した事例でも、税務署からの指摘が発覚の原因でした。
この場合、無許可副業に加えて、税金未納と追加徴税というトリプルのダメージを受けることになりますので、絶対に避けたいところです。
懲戒処分の程度はどのように決まる?
その質問に答えるには、まず人事院が出している懲戒処分の指針について確認する必要があるニャ!
人事院の「懲戒処分の指針について」によると、
副業・兼業の許可を得る手続きをせずに、副業がばれた場合の処分としては、減給又は戒告と定められています。
そのため、許可を得れば行える副業を無許可で行っていることがバレたときの懲戒処分は、重くても減給になります。
しかし、この記事で紹介した事例のように、停職や免職になっているのはなぜなのでしょうか。
それは、単に無許可で副業をやっていただけではなく、他にも様々な処分要因があったからです。
具体的には、地方公務員法33条で規定されている「信用失墜行為の禁止」に抵触したことによるものが多いです。
地方公務員法第三十三条(信用失墜行為の禁止)職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
事例から学ぶ!公務員が副業で処分されないために絶対にやるべきこと
ここまで見てきた処分事例から、公務員が副業で処分されないために、どういった対策をしたらいいんでしょうか。
その対策については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひお読みください。
おわりに
この記事では、公務員が副業で処分された12の事例から、どうして副業がバレ、そしてどのような処分が下されるのか、解説してきました。
筆者自身が、公務員の副業を考える上で参考になる事例を厳選したつもりです。
とはいえ、処分の程度や副業がバレた理由はケースバイケースというのが正直なところです。
この記事で紹介した処分事例や、【保存版】公務員が副業しても職場にバレない方法をこっそり公開してみたで解説している職場にバレないための方法を参考にして、自分なりの安全な副業スタイルを見出していただければ幸いです。
公務員の副業がバレた場合、どんな処分が下されるのでしょうか。また、バレてしまう理由は?この記事では、過去に副業がバレて処分された12の事例から、処分の内容と副業がバレる理由について解説します。