「公務員は法律で禁止されているから副業はできない。。。」
そう、分かってはいても、「本業以外で収入を増やしたい!」
そんな思いを捨てきれない公務員のあなたのために、公務員の副業について法律で禁止されている内容と、公務員でも安心してできる副業について紹介していきます。
Contents
公務員の副業が法律で禁止されている理由
一部の例外を除いて、地方公務員、国家公務員ともに、公務員は法律で副業を禁止されています。
正確には、全面的な禁止ではなく制限なのですが、自由に副業ができないという意味では、「禁止」といえるレベルです。
では、なぜ公務員の副業は法律で禁止されているのでしょうか。
民間でも副業を禁止している企業はたくさんありますが、民間の場合、就業規則で禁止しているだけで法律で禁止されているわけではありません。
公務員の副業が禁止されているのには、主に2つの理由があります。
職務に専念する義務
1つ目の理由は、公務員を職務に専念させるためです。
公務員の仕事は、国民や住民の税金を扱う責任ある仕事。
そのため、公務員は勤務時間中、しっかりと本業だけに集中するよう、法律で義務付けられています。
副業はあくまで「副」なので、「本業」の公務員としての仕事に悪影響を及ばさないためです。
「職務専念義務」についての、根拠法令はこちら。
地方公務員法(職務に専念する義務)第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
国家公務員法(職務に専念する義務)第百一条 職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。
○2 前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官庁が職員を本職以外の業務に従事させることを妨げない。
信用失墜行為の禁止
2つ目の理由は、公務員全体の信用を守るためです。
公務員の仕事は、国民や住民との信頼関係が基本。
そのため、公務員全体に対する信頼を失うような行為は、法律で禁止されています。
公務員が好き勝手に副業することで、公務員全体の信頼が落ちることもありえます。
なので、きちんと申請して、上司の許可を得ないと、公務員は勝手に副業を行えないようになっているんです。
実は、許可なく副業していることがバレて処分された事例は、けっこうあります。
例えば、職務時間中に副業で不動産投資を行って、約7,000万円の収入を得ていた宝塚市職員の例などは有名なところですね。
「信用失墜行為の禁止」についの根拠法令は、こちら。
地方公務員法(信用失墜行為の禁止)第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
国家公務員法(信用失墜行為の禁止)第九十九条 職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
「地方公務員法 第38条」「国家公務員法 第103条・104条」【公務員の副業禁止規定】
- 営利企業の役員等になること
- 営利企業をみずから営むこと=自営
- 報酬をもらって行う事業・事務
地方公務員と国家公務員の違いは、許可をとる相手の違いと、国家公務員の場合、人事院勧告でより詳細に条件が示されている点です。
地方公務員の根拠法令は、こちら。
地方公務員法(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。
国家公務員の根拠法令は、こちら。
国家公務員法(私企業からの隔離)第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。○2 前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。○3 営利企業について、株式所有の関係その他の関係により、当該企業の経営に参加し得る地位にある職員に対し、人事院は、人事院規則の定めるところにより、株式所有の関係その他の関係について報告を徴することができる。○4 人事院は、人事院規則の定めるところにより、前項の報告に基き、企業に対する関係の全部又は一部の存続が、その職員の職務遂行上適当でないと認めるときは、その旨を当該職員に通知することができる。○5 前項の通知を受けた職員は、その通知の内容について不服があるときは、その通知を受領した日の翌日から起算して三月以内に、人事院に審査請求をすることができる。○6 第九十条第三項並びに第九十一条第二項及び第三項の規定は前項の審査請求のあつた場合について、第九十二条の二の規定は第四項の通知の取消しの訴えについて、それぞれ準用する。○7 第五項の審査請求をしなかつた職員及び人事院が同項の審査請求について調査した結果、通知の内容が正当であると裁決された職員は、人事院規則の定めるところにより、人事院規則の定める期間内に、その企業に対する関係の全部若しくは一部を絶つか、又はその官職を退かなければならない。
国家公務員法(他の事業又は事務の関与制限)第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
働き方改革で公務員の副業が全面解禁されたわけではない
とはいえ、近年、働き方改革によって公務員の副業が解禁されたというニュースも多く見かけるようになってきています。
たしかに、政府は副業・兼業を推進しており、民間に対しては、副業・兼業の促進に関するガイドラインまで出しています。
公務員の副業解禁についても追い風が吹いており、神戸市や奈良市などを始めとして、職員の副業に関する規定を明確化する自治体も出てきています。
しかし、これら公務員の副業解禁の動きは、公益的な副業に限定されており、地域コミュニティの担い手不足の問題などを解決する手段として、公務員の力を活かそうといった趣旨です。
これはこれで、非常に素晴らしいことですが、収入アップを目的とした副業の全面解禁ということではありません。
公益的な活動以外にも、公務員に対して、より多様な働き方を認めることが、生産性向上にもつながっていくのではないでしょうか。
公務員でも安心してできる副業一覧=法律で禁止されていない副業
ここまで公務員の副業禁止規定について詳しく解説してきました。
一見すると、公務員が本業以外で収入を得ることはやはり難しいんじゃないかと思ってしまうかもしれません。
てすが、規定があるということは、例外もあります。
難しく思える公務員の副業ですが、実は副収入を得る方法自体は意外と多くあるんです。
ここからは、この記事の本題である、公務員でもできる副業についてお伝えしていきます!
不動産投資・駐車場賃貸
不動産投資は、次の条件を全て満たせば、任命権者の許可をとらなくても副業として取り組めます。
- 独立家屋の賃貸で、独立家屋の数が4棟以下である
- 独立家屋以外の建物の賃貸で、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が9室以下である
- 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が9件以下である
- 賃貸する不動産に劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備が設けられていない
- 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務用ではない
- 不動産賃貸料収入が年額500万円未満である
同様に、駐車場賃貸も次の条件を全て満たせば、任命権者の許可なく行えます。
- 青空駐車場で、機械設備を設けていない
- 駐車台数が9台以下である
- 駐車場賃貸料収入が年額500万円未満である
不動産投資、駐車場賃貸のどちらにも共通しているのは、年収500万円未満であれば、法律で禁止されている「自営」に当たらないため、申請せずとも副業することができます。
どちらも結果を出すには、元手となる資金と努力が必要ですが、わざわざ副業申請しなくても処分されるリスクがなく、しかも最大で年収500万円近く稼げる可能性があるのは魅力的ですよね。
また、元手となる資金を得るには融資が必要となる場合もありますが、公務員という身分は、金融機関からの融資を受けやすいという強みがあります。
さらに、500万円以上であっても、職務との利害関係がないなどの条件を満たせば、副業申請を出して許可が下りる可能性もあります。
太陽光電気の販売
太陽光電気の販売も、販売に係る太陽光発電設備の定格出力が10キロワット未満であれば、任命権者の許可なく安心して行えます。
これも不動産投資と同じく、「自営」に当たらないためです。
また、定格出力10キロワット以上であっても、不動産同様に、職務との利害関係がないなどの条件を満たすことで、許可が下りやすいです。
作家・執筆活動
作家などの執筆活動は、申請は必要ですが、任命権者の許可が下りやすい副業です。
理由は、前例が多くあるからです。
2019年2月に亡くなられた作家の堺屋太一さんや歌人の俵万智さんなどは、公務員として副業していた著名人です。
堺屋さんは、通商産業省(現経済産業省)の元官僚で、通産省在職中に作家としてデビューしていますし、俵さんも高校の教員として働きながら、歌人としての活動も行っていました。
執筆活動で収入を得るレベルになるには、才能と努力が必要です。
しかし、任命権者の許可が下りやすいという意味では、安心して取り組める副業です。
株式投資・FX・投資信託・仮想通貨・ソーシャルレンディングなど資産運用
資産運用は、地方公務員法や国家公務員法で禁止している副業には当たりませんので、公務員でも自由に取り組めます。
ただ、稼げるかどうかは個人の力量次第ですし、資金を減らすリスクもあります。
元手となる資金を用意し、しっかりと勉強した上でチャレンジしたいところですね。
農業・家業
営利を目的としない小規模農業は、申請をしなくても公務員が行なえます。
また、家業を継いで兼業することも、申請は必要になりますが、許可が下りやすい副業です。
条件次第で公務員でもできる副業一覧
地方公務法と国家公務員法上は、取り組むことが難しい副業であっても、一定の条件を満たせば取り組める場合があります。
具体的には、次の条件を満たせれば、公務員ができる副業の幅はぐんと広がります。
- ネットビジネスなど在宅でも行えること
- ビジネスの主体が家族で、勤務時間外で手伝うスタイル
接客業など人前に出るような仕事は、こっそりやっていても見つかる可能性がありますし、まともに申請を出しても許可が下りる可能性は低いです。
その点、在宅でも行えるネットビジネスなどは、人目に触れずに取り組めるため、副業申請をして許可が出る可能性は、人前に出る仕事よりは高いでしょう。
また、仮にこっそり行っていたとしても、バレづらいです。
もちろん、申請せずに副業する場合、処分も覚悟して自己責任で行なう必要があります。
加えて、自分自身の副業として取り組むのではなく、家族が行うネットビジネスなどを手伝うスタイルをとれば、公務員であるあなた自身の副業にならないため、処分されるリスクはほとんどありません。
ただ、この際注意しなければいけないのは、副業収入の振込先を家族名義にしているだけで、実質的な事業責任者が公務員であるあなた自身ではだめということです。
では、ここからは家族を手伝うスタイルでネットビジネスをする方におすすめの副業をご紹介します!
アフィリエイト
アフィリエイトとは、自分のサイトやブログに、ASPと呼ばれる広告会社を通じて、広告を掲載し、広告収入を得るビジネスです。
ブログやサイトに広告を貼るだけなので、そもそも副業に当たらないのではないかという意見もありますが、継続的にブログなどに広告を貼り、収入を得る行為は明らかに営利性、事業性があるため、法律で禁止されている副業にあたると判断した方が無難でしょう。
ただ、ネット環境さえあれば、初期投資0円でも始めることができ、月100万円を稼ぐような猛者も多くいるため、夢がある人気のネットビジネスです。
クラウドソーシング
クラウドソーシングとは、会議の文字起こしやサイト制作、データ入力など様々な仕事とそれを受ける人の、ウェブマッチングサービスです。
クラウドソーシングは、報酬をもらって行なう事務に当たるため、勝手に副業として行なうことはできません。
ただ、仕事の種類は非常に多岐に渡るため、文字起こしなど特別なスキルがなくても行える仕事も多くあります。
協力できる家族がいれば、在宅で様々な仕事をすることが可能です。
有名なサービスとしては、「ランサーズ」があります。
せどり
せどりとは、書籍やゲーム、家電などの物品をブックオフなどで安く仕入れて、Amazonなどのウェブサービスで高く転売することです。
収入20万円以下の確定申告が必要ない範囲でせどりを行なう分には、副業ではなく小遣い稼ぎと言えなくもありませんが、20万円を超えるような場合は事業性が出てくるため、副業扱いになってくるでしょう。
また、仕入れを実店舗で行なう場合、人目に触れやすいというリスクがあります。
しかし、最近では、フリマアプリなどを使って、商品の仕入れを行なうことで、完全在宅でせどりを行なうこともできるようになりました。
ポイントサイト
ポイントサイトとは、サイトに掲載されているショップで買い物したり、サービスに申し込んだりすることでポイントが貯まり、そのポイントを現金化できるサービスです。
別名「お小遣いサイト」とも言われています。
例えば、アンケートに答えたり、ミニゲームをしたりすることでもポイントが貯まります。
そのため、月数千円~1万円程度でポイントサイトを活用する分には、そもそも副業には当たらないと思いますが、年間20万円を超えるレベルになってくると、せどり同様、事業性が出てくるため、自身の副業として行なうことはやめた方がよいでしょう。
ただ、こちらも完全在宅で行えるため、家族と協力して行える方にはおすすめです。
有名なサービスは、「ハピタス」などです。
この中でもおすすめはアフィリエイトとポイントサイト
「やり方次第で公務員でもできる副業」として、家族を手伝うスタイルで行なうネットビジネスを4つ紹介しました。
この中でも特におすすめは、アフィリエイトとポイントサイトです。
アフィリエイトをおすすめする理由は、稼げるようになるまでに時間が掛かるというデメリットがある反面、普段から文章を書くことに慣れている公務員の強みが活かせることと、軌道に乗れば比較的安定して継続的に一定の収入が得られるからです。
ポイントサイトについてはこの逆で、今すぐにでも小遣い稼ぎができることが魅力です。
特別なスキルもいらないため、数千円~の小遣い稼ぎをしたい方は、今すぐに初めて損はありません。
おわりに
この記事では、「公務員でも安心してできる法律で禁止されていない副業」と「条件次第で公務員でもできる副業」の2つに分けて、公務員が本業以外で収入を上げる方法についてご紹介しました。
国民や住民に奉仕することが公務員の仕事ですが、とはいえ公務員も人間です。
本業以外で一定の収入を得ることで、心の余裕が生まれ、それが本業である公務員の仕事の質を上げることにもつながると思います。
今回ご紹介した内容が、あなたにとってヒントになれば幸いです。